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「お米と日本の歴史その3」天地米店小澤量のHave a Rice Day! ラジオフチューズ2019/10/01

投稿日:2019年10月1日 更新日:

 今日も、日本の歴史とお米。三部作の最終回です。 

 鎌倉時代から始めます。鎌倉幕府が朝廷に認めさせた権利が、守護地頭です。守護はその国の軍事や警察を担当し、地頭は荘園や公領の管理や年貢の取り立てなどを行いました。 

 幕府を支えた御家人が守護地頭になりました。そして、この権利が梃子となって、鎌倉幕府の力が弱かった西日本でも、御家人たちが、貴族や寺社から土地の実質的な権利を奪い取るために軋轢が生まれます。

 幕府幕府と言いますが、幕府というのは、実は江戸時代になって使われた言葉で、当時は、鎌倉殿です。御家人は、鎌倉殿に所領を安堵された御恩を、有事の際は、「いざ鎌倉」と出陣し、奉公するという主従関係、御恩と奉公を基盤としておりました。日本における封建制度の始まりです。

 さて、所領の上りは何だったでしょうか?そうです、基本は、やっぱりお米ですね。
 鎌倉時代に、お米の生産を取り巻く技術も伸びました。
 水車や溜め池,水路などの灌漑設備が整い水田が広がっていきました。

 牛や馬を利用して土地を耕したり、金属製の鍬(くわ)・鋤(すき)も普及し、専門の鍛冶屋も生まれました。ただし、当時の農具は、先端だけが鉄でした。鍬先とか、鋤先とか言います。

 案山子(かかし)もこの頃の登場です。田植えも、種を直接、田んぼにまく直播(じかまき)から、苗を作っての田植えが広まっていきました。この方法のほうが、収穫量が多いのです。

 さらには、草木の灰や腐葉土,家畜や人間の「し尿」を発酵させて肥料に用いるようになったのも鎌倉時代からでした。

 夏に米、冬に麦を作る二毛作も始まりました。

 承久の乱(1221年)により、西国でもますます幕府の力が強まりましたが、蒙古襲来、元寇(1274年)から状況が変わっていきます。モンゴルは撃退したものの、新しく御家人に分ける土地はなく、御恩と奉公を基盤にした体制が揺らいでいきます。そして、平家が没落したのと同じ状況が出現します。執権として幕府をまとめてきた北条家が、一族の専横を強め、御家人たちの反感を買い、結果として、源氏の足利尊氏や新田義貞らにより滅亡されることとなりました。

 次は、室町時代の話です。鎌倉時代の米作りの環境がさらに進化します。二期作からさらに、ソバを加えた三期作も始まります。

 鉄の製造もさらに増え、鉄製農具もさらに普及しました。農民がそれぞれ自分の鉄製農具を持つ時代になりました。ちょっとそれますが、当時、大量の日本刀が中国へ輸出されました。それくらい、鉄の生産が盛んになりました。

 田植えの合間に笛や鉦 (かね) 、太鼓にあわせて踊り、歌う田楽 (でんがく) が広く社会に浸透していきました。田楽は、能楽の一源流と言われています。田んぼは、日本の伝統文化の源でもありました。

 応仁の乱の後は、戦国時代です。

 戦国大名は自分の領地のお米の収穫量を上げることに熱心でした。お米の増産は、国力、軍事力の向上そのものでしたから。

 有名なのが、甲州の武田信玄。1542年 (天文11年) 釜無川の大洪水の後、有名な堤防「信玄堤」を構築しました。別名、霞提(かすみてい)です。「信玄堤」は、洪水の時、川の激流を堤防で受け止めず、堤防にいれた切れ目、これは、上流に向かって切ってあるのですが、ここから水が逆流するようにして堤防決壊を防ぐというものです。

 他にも、加藤清正の「乗り越し堤」という方法などもありました。最近の大雨による被害を見ると、過去の知恵がもう少し生かせないのかなとも思います。

  田んぼの面積が増え、農家戸数も増え、戦国大名たちは自己の領地についての検地を行いました。それを統一して全国的に行ったのが豊臣秀吉です。

 有名な太閤検地。 1582年 (天正10年)のことです。

 秀吉は全国の土地、収穫量、年貢量などを定めて記録しました。各種の度量衡、つまり田んぼの大きさ、枡のサイズなどを統一しました。さらに「一地一作人」(いっちいっさくにん)の原則を定めました。権利者が複雑な荘園制を改め、中間搾取を排除して、その土地の年貢は農民自身に受け持たせることとしました。

 検地によって、それまで古い荘園制のなごりがあった土地制度はまったく変えられました。そして、こうして全国統一された規格で国の比較や農産物の全国流通が可能になりました。

 江戸時代も経済の中心はお米。

 大名は、余剰に生産されたお米を大阪や江戸で売って収入としました。有名なのが、世界初の整備された先物取引市場、大阪の堂島米会所ですね。

 そして、新田開発のために、大規模な土木工事が全国で行われました。利根川を江戸湾から太平洋に流れ出るようにつけかえた工事や、木曽三川の工事などが有名ですが、中には、農民自身による、命がけの農業用水工事もありました。全ては、お米を一粒でも多くとるため。

 結果として、江戸時代には、1260万人から3300万人に人口が増えました。

 細かいことを説明すれば、時間は全く足りませんが、このシリーズはここでいったん終了します。

 次回は、十月十五日火曜日です。また、違った観点からお米についてお話したいと思います。

 皆さん、お米について知りたい聞きたいことがあれば、何でも結構です。是非、ラジオフチューズまでメールをお寄せください。

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