「籾の状態でもらったお米精米できませんか?」
たまに、こういうお問い合わせを受けます。
以前、小平市に博物館とでも呼べそうなお米屋さんがあり、
そこでは、出来ました。
が、普通は無理です。
稲穂から脱穀した籾つきのお米は、
籾すりという工程をへて、玄米になります。
玄米が米流通の基本です。
「籾保管の方が品質に良い」という
正直、思い込みとも言える発想から
ご実家・親戚縁者から送ってくるケースなんですね。
籾保管は、確かに、玄米保管より品質保持には、いいです。
ただし、それは常温の保管の場合です。
現在のまともな米流通の基本は、春から秋までは、低温での玄米保管ですから、
常温の籾保管より、低温での玄米保管の方がさらにいいんです。
籾状態だろうと玄米だろうと、
米はヌカ層の脂質が徐々に酸化していき、劣化します。
劣化は、どんな状態だろうと、進みます(たとえ、低温であっても)。
その中で、もっとも簡単に重量が把握できて、
検査できて、目視で質を確認できて、
精米出来るのが玄米です。
お願いですから、消費者に籾状態でのお米を送るのは
やめていただきたいですね。
なお、
簡易型のインペラ籾すり機という機械があります、
米の小売りでは、意欲?のあるところが、これを購入して
籾の混入のない玄米販売をされているところもあります。
ただ、これは、農家の籾すり機と違い、
玄米に傷がついてしまいます。
その後、玄米で保管することを目的には使えません。
ともかく、
これだけ業界が、
知恵と時間と労力とお金(倉庫や電気代)を使って
流通段階での品質保持に気をつかっているのに、
全くわかっていない生産者が多数いるというのは
まったくもって残念です。
あ、質問に戻りますと、一番手っ取り早いのが、
「生産者に送り返して、籾すりして玄米で送ってもらう」
ことです。
送料が二回分かかりますが、これが正解です。
なお、インペラ籾すり機を所有しているお米屋さんがあります。
川崎にありますので、府中からお車で持って行ける方には紹介します。
ただ、突然持っていって、「すぐに」は無理ですよ。
作業のほこりもすごいし、段取りにも時間がかかりますので。