「米スタイル」2012 秋号 Vol.3 より
(発行:日本米国小売商組合連合会 お米マイスター全国ネットワーク)
私がごはん食をすすめる理由①
森谷 敏夫教授(京都大学大学院 人間・環境学研究科)
脳に栄養が行き渡らない―現代人の誤解
ご飯は炭水化物で、食べるとブドウ糖を作ることはよく知られています。
しかし、知らない方が多いのですが、
食べた炭水化物の7割は筋肉、2割は脳で消費されます。
また、脳のエネルギーは糖質だけなのです。
ほかの臓器は、ほとんど糖質を使いません。
心臓が使うエネルギーの約70%は脂肪です。
なぜかと言うと、糖質を脳と筋肉のためにとっておきたいからです。
仮に100キロカロリーの糖質を取ったとすると、
筋肉で700キロカロリー使いますから、
脳のためには残り300キロカロリーしかないということです。
人間の脳は1日400キロカロリーくらい使いますが、
そのエネルギーの全部が糖質(ブドウ糖)です。
つまり脳には1日400キロカロリーのブドウ糖が必要なのです。
それなのに、朝からごはんを茶わん一杯も食べないから、
通勤電車で若い女性や男性サラリーマンが、
朝からつり革持ってコックリやるわけです。
あれは疲れているからではなく、
脳の栄養が不足しているからです。
実験用のモルモットも若いダイエット専門のお嬢さんたちも
食事の量を減らすとよく眠るようになります。
これはまさに体の自己防衛反応で、
できるだけエネルギーを使わないようにして
脳のエネルギー不足をカバーしているのです。
―続く―